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覚醒

ふ~っ。やっと秋。ついに果てし無く続くと諦念していた猛暑が終り冬眠ならぬ「夏眠」からめざめる。

家庭でも職場でも訪れた先々でも「暑い暑い!」との会話が飛び交う。そらみたことか…「地球温暖化が具現化したのだ~。ここで阻止しなければなんとする!」…とわめいても誰も耳を傾ける気力も思考もない。自分のこのブログでも、他の自転車関係のフォーラムでも毎日「アチー」と、愚痴を連続するのは必定。それならば「夏眠」するしかないと自ら思考停止状態を決め込む。それでも日常の営みは、坦々とこなし、世俗の物欲も○欲も夢ごごちでためこむ毎日が続いた。したたかに生きていたのでは確かである。

  ここ数日の気温の低下と、ある新刊書物が福音となって覚醒したのだ。

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  帯にあるように、あの大バッハが再婚したアンナ・マグダレーナの素顔を残された資料から客観的に描きだそうと試みる。

 16歳ほど年上しかも数人の子持ちのバッハと再婚し、頑固一徹の夫の創作活動や家計を支えつつ、前妻の子供たちも育て上げ、13人の子供を授かりながらも、そのうち7人を幼いまま野辺で見送るという悲運に見舞われた健気で気丈な妻アンナ。夫バッハは声楽家でありながら専業主婦となった妻のために愛情を注いだ証しである『アンナ・マグダレーナのための音楽帳』を残しているし、夫の作品を筆写する彼女の筆跡は、年を経てバッハのものと見紛うばかりとなる。
  悪妻に振り回されるハイドンやモーツァルト、女運のないベートーベンと比べれば、音楽家の理想の妻という彼女のイメージは、実は下の書物によって作られたのである。

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 あとがきによると1930年(実は1925年)には原著の初版が発行され1950年に山下肇氏が訳出し1967年に全面的に加筆改訂したものが上の『バッハの思い出』なる書物である。(現物は大学生時代に高田馬場の古本屋で手に入れた1974年9版…売れている!)。同あとがきにもあるように、アンナ自身が、夫バッハとの睦まじい生活と、夫の創作活動(信仰的・人間的側面をふくめ)を赤裸々に綴ったものと紹介され、多くの人に感動を与えてきた。しかし、著者はアンナ自身であると思い込まされていた日本でも、彼女が本当の作者なのかという疑問は早くから出されていた。その後、第三者(Esther Meynel)の創作であるということが指摘され、バッハファンを大いに失望させた経緯がある。…実は私もその一人。

  今回のこの書物は、彼女を覆ったそのようなベールを少しでもはがし、資料に基づき実像に迫ろうとする試みである。

  しかし、私自身、先に出版された書物を非難するつもりはない。原作者E.Meynell が自分の名前を出し明らかに現地(ドイツ)では、彼の創作として受けいられているようだ。私も、今なら、創作ドラマとして楽しんで読めるだろう。考えてみれば、子供の頃から慣れ親しんだNHKの大河ドラマの様なものであり、それはそれで夢を見させていただいたのである。今回の書物で夢から覚めて自分の眼でアンナを見つめなおすのもオツなものだ。

  さらに、あの古楽演奏の大家グスタフ・レオンハルトがバッハを演じた『アンナ・マグダレーナ・バッハの年代記』という映画(1967)がある。

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ア ンナが、彼の音楽や生涯を語るスタイルをとっているが、音楽面から2人の関係を掘り下げようとしており、かの『日記』を原作としている訳ではないらしいが、どうしても『日記』のイメージが重なってしまう。一見(聴)すれば、衣装や設定などの時代考証に首をかしげるところが多いが、コレギウム・アウレウム合奏団やアルノンクールらを従えたレオンハルトの音楽は、当時の古楽の最先端の世界をかいま見ることができ、まとりついた『日記』のイメージを払拭するほどすばらしく、これはこれで興味ぶかい。

 ちなみに、大河ドラマといえば、これぞまさしく茶番劇『直江何とか』は別格として、今回の『竜馬伝』も首を傾げる設定が少なくない…。主役二人が好演しているだけに、強烈に刷り込まれる先入観ほど怖いものはない。「善良な老若男女をまどわしたらいかんぜよ」と、草葉の陰で竜馬と弥太郎は苦笑しているだろう。山内容堂はともかく、一橋慶喜公にいたっては、制作関係者が呪い殺されるのではないかと心配するほど、悪役に仕立てられているし…

  ははは、閑話休題…。

 ウワサによると彼女と、あのバッハのリュート組曲ト短調BWV995をタブラチュア化したと言われるリュート奏者のファルケンハーゲンとの間に、意外な接点があると聞く。
それが裏付けられるか楽しみ…。久しぶりに昔の本も読んでみよう。
   いざ紐解かん。おっと…そんな時間あるの?

   実は定演が近づいている。それと夢に見たある「自転車大改造計画」が実現可能な条件が整いつつある。「心頭を滅却すれば火もまた涼しい」と悟ったつもりがもとの黙阿弥状態…しかも…

  二人の愛情を確かめんとするのに月末の定演の曲目をヴァイスのソナタ『不実な女』全曲にしてしまった自分を訝る藤兵衛であった。

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