岡沢道彦さんのライブ
久々に記事を書こうとしたらメンテナンス工事とやらで長時間書き込み不能。通勤用クロスバイクついにゲット!…及び先日紹介した自転車用サンダルでリカンベント初乗りした矢先、見事に転びあやうく骨折…との自転車ネタはさておいて…。
先日、岡沢道彦さんのリュート演奏会に出掛けた。
場所は熊谷駅近くの「BAR すごもり」
この店はジャズやクラシック音楽をはじめクラッシクギターやフラメンコ、津軽三味線、シャンソンなど多彩なライブを定期的に催している。最大25名収容とこじんまりしているが常連客も多い。
岡沢道彦さんは、横浜在住のリュート奏者でギター教室も開催されておられる。縁あって毎年この時期に、埼玉のこの場所でリュートの演奏を披露されている。 今回で6回目になるが、2回目から毎年拝聴させていただいている。(うち一回は沖縄出張の前夜だったので泣く泣く不参加)
当日の演奏曲目
パーセル:うるわしの島 恋の病から ああ恋することって 和解の星 グランド
ヴィヴァルディ: そよかぜ 潮騒 マドンナ ときめき あこがれ 魅惑の舞 やすらぎ シチリアーノ
ハイドン:ディヴェルティメント「舞踏会」Hob.XII:3+5 アダージョ メヌエット プレスト
バッハ: プレリュードBWV1006 フーガBWV1001 ブーレとドーブルBWV1002 ジグBWV1004
ヴィヴァルディのプログラムは協奏曲の緩徐楽章をアレンジしたもので岡沢さんがご自身イメージした洒落た副題をつけていらっしゃる。ハイドンはバリトンソナタの編曲。副題も岡沢さんのネーミング。バッハは無伴奏ヴァイオリン作品からの編曲。
お気づきの通り、パーセルをはじめリュートソロのオリジナルの曲は全くない。(とはいってもヴィヴァルディの最初の三曲はリュート協奏曲の第2楽章から採られてはいるが…。)
実は、岡沢さんの使用している楽器は8コースルネサンスリュートの形はしているが、独特の調弦を用いている。
ご覧のように※印の4つの弦にヴァイオリンの調弦を意図的に配することで5度調弦のヴァイオリンやチェロの曲の演奏が容易にしたとのこと。称して「オカザワ・チューニング」。
この楽器(2002年山下暁彦作)でCDも2006年11月にだされていらっしゃる。
バッハの演奏は実にみごとで、この楽器の特性をフルに活かし、バロックリュートとは別の世界を生き生きと描き出しておられる。
とはいっても、実は岡沢さんは知る人ぞ知る日本で初めて(ひょっとしたら世界初)バッハのリュート曲及びヴァイオン、チェロ、フルートの無伴奏曲の全曲をバロックリュート用のタブラチュア譜を書き起こし出版された方なのだ。
今からうん十年前、ギタルラ社の楽譜コーナーで発見。
ただただ驚愕!当時タプラチュア譜には馴染んでいなかったのと分冊毎結構高額なので手にはできなかったが、私自身の5線譜でのバロックリュートのバッハ編曲に大いに刺激になり、宝物のように大切にこのカタログは保管していた。岡沢さんの最初のライブに参加する際これを携え、ライブ終了後に表紙にサインしていただいた次第。その折り、今の調弦にいたるお話を伺うことができた。バッハをより自然に表現できる合理的なスタイル。
また、写真ではお判りにくいかもしれないが、リュートをしっかり固定して支える器具も考案され、安定した演奏の一助となっている。岡沢さん音楽に対する飽くなき探求心に敬服している。
私が毎年興味津々なのがクープランやモーツァルト、ハイドンの編曲もの。全く非リュート的な楽器作品からリュートの音楽を爪弾きだす。比較的相性の良い作品を吟味して編曲なさるとのことだが超絶な技法と飛び抜けた作品分析!バロックリュートを弾く私とは方向性が違うが、毎年楽しみにしている。今年のハイドンのバリトンの曲は、コハウトやハーゲンなどの後期バロック(ロココまたは前古典期)リュート音楽を彷彿とさせとても楽しく聴かせていただいた。パーセルのグラウンドも彼がリュートの曲を残したならかくあらんという秀逸な編曲。また、来年が楽しみである。
触発されバロックリュートに久々にもえる藤兵衛であった。
| 固定リンク
「リュート」カテゴリの記事
- 仕事とリュートでプッツン?(2011.05.15)
- アンナ・マグダレーナと不実な女がミュゼットを奏でる(2010.10.05)
- Sautscheck事件(2010.04.05)
- 神々の楽器~再誕(2009.10.25)
- 岡沢道彦さんのライブ(2009.07.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
カザこと岡沢です。私のライブの克明なレポートありがとうございます。藤兵衛さんの過去の記事も読ませていただきました。単なるマニアを超えた博識に驚くとともに敬服いたしました。
これからもちょくちょく訪問したいと思いますのでよろしくおねがいいたします。
投稿: カザ | 2009年7月 2日 (木) 08時19分
先日はお世話になりました。ハイドンのバリトン曲大変気に入りました。楽譜を探して自分も研究したいと思います。また、来年楽しみにしています。
投稿: 藤兵衛 | 2009年7月 4日 (土) 07時42分
バリトン曲はガンバでやっても面白いかもしれませんね。楽譜はハイドン全集版しかないかもしれません。上野の文化会館の音楽資料室あるいは三田の慶応大学の遠山音楽図書館でコピーが取れると思います。デュオの4曲なら私が持っていますのでコピーをさしあげてもいいですよ。バリトン全集のCDは21枚組ですがとても安くて1万円でおつりが来ます。
投稿: 岡沢(カザ) | 2009年7月 6日 (月) 21時32分
情報提供ありがとうございます。
楽譜の件ご好意に甘えさせていただきます。
CDは禁断の玉手箱ですね。開けたらバリトンを手に入れたくなってしまいそう(笑い)。
投稿: 藤兵衛 | 2009年7月 6日 (月) 22時27分