発見!コンティとバロックリュート~その1
久しぶりの音楽の記事。
先日、まとめて楽譜を輸入した。(→1月6日の記事)
今回、そのうちの次の楽譜を紹介したい。
フランチェスコ・バルトロメオ・コンティの 『Ⅷ CANTATE Con instromenti(八つのカンタータ集)』全二巻
ウィーンの宮廷でフックスと同時代、テオルボ奏者兼オペラ作曲家として活躍したコンティFrancesco Bartolomeo Conti(1681-1732)については、「ヴァイスとの交流」(→2008/8/9)、「コンティとテオルボについて」(→2008/8/20)といった内容をそれぞれを紹介した。
そもそも彼に興味をもったのは、バロックリュート最大の巨匠ヴァイスも一目置いた程の存在だということだ。しかし、残念ながら彼の知名度は低く、一般の音楽愛好家が作品に触れる機会はほとんどないと言ってよい。たまたま、クヴァンツの伝記から彼のことを知り得て、先の一連の記事を書いて「忘れられた巨匠」を紹介した次第である。
その時、彼の復興のきっかけとなったオラトリオ『DAVID』のCDを紹介したが、他に入手できる彼のCD「4つのカンタータ」なるものが気になっていた。もしや『DAVID』と同じようにテオルボが使用されているのではないかという淡い期待感があった。そんなおり、この楽譜を入手することになるOMIの楽譜カタログのリュート作曲家の項に彼の名前を見いだしたからである。
それがこの『Ⅷ CANTATE con instromenti 』全二巻なのであるのだが、かのCDのカンターターと一致するかの確証もなく(何よりも曲数が違う)、値段もそれなりに高価である。しばらく考え込んだ後、値段も注文もお手軽ということでCDの方をHMVに発注したのだった。ところが、しばらくたってからHMVから入手困難との連絡がくる。この時キャンセルの手続きを取らなかったのが福音をもたらしたのである。何と昨年末忘れた頃にこのCDが届いたのである。(私の注文のお蔭で在庫があるはず→HMV) ※追記 1/23には在庫無し、とのこと…申し訳ござらぬm(_ _)m
演奏者たちの知名度は決して高くないがLiuto奏者Maurizio Pratolaの名前をジャケットに見いだして期待をこめて聴いてみた。「お~っ」と思わず叫んでしまった。何とリュートがあちらこららで大活躍。コンティヌオ(う~、作曲者の名前と紛らわしい…)ではなく、4曲のいたるところでオブリガードを奏でているではないか!落ち着きを取り戻し耳を済ませばヴァイオリンと大部分がユニゾンになっているようだが、ところどころリュートソロが散見する。
う~ん…これは是非楽譜が見てみたいということになり、冒頭で述べた通り円高に託つけて楽譜のまとめ買い走った次第。一番の目的は、言うまでもなくこのコンティの楽譜であったが、まさに清水の舞台から飛び下りる気持ちで全2巻(8曲)購入した訳である。
届いて欣喜雀躍、第1巻がまさしくかのCDとドンぴしゃり!さらに驚いたのは何とフランス式タブラチュア譜が用いられていたことである。
第1曲のカンタータの冒頭部
なんと!、使用されていたのはテオルボでなく完全にニ短調調弦のバロックリュートであった!これは意外で驚きの発見である。 Zamboniなどのように同世代までのイタリア人(コンティはウィーンで活躍していたが…)のリュート音楽は「G調弦のアーチリュートなど(イタリア式タブラチュア)が当たり前」という先入観が崩れたのである。詳しいことは日を改めて紹介するが、ヴァイスに匹敵する技巧を要するものの11コースの楽器を前提としており、ヴァイスの先達コンティという位置づけが明確になったことだけは押さえておきたい。
コンティの虜になってしまった藤兵衛であった。
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