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バッハとリュートあれこれ(7)~新バッハ全集校訂報告

  1976年『新バッハ全集』シリーズⅤ第10巻に7曲がリュート曲として掲載されて以来、1982年ようやく音楽学者Thomas Kohlhaseによる『校訂報告』が出版された。
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 『新バッハ全集』シリーズⅤ第10巻『校訂報告』扉

  全204頁 後半89頁よりリュートの部   

   序文(伝承・年代・使用楽器 と演奏法・関連文献と出版物)の後、各曲ごとに以下の項目が設けられている。       

  • 出典
  • 総論(成立年代・様式・使用楽器・初版)
  • 出版物
  • 詳細な注釈                                                            

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  参考 本文 BWV997 出典:従属関係の一部

   ご覧のようにドイツ語で記述されており、我々一般の愛好家には内容を理解するには敷居が高かった。幸いなことに小川伊作氏により1985年『現代ギター』11~12月号の特集記事「バッハ最新研究」にてその抄訳が紹介された。
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「新バッハ全集 リュート作品校訂抄訳」

  • はじめに
  • 批判版と実用版-<新バッハ全集>について
  • 著者について
  • 校訂報告について
  • バッハは本当にリュートのために作品を書いたのであろうか(各作品の楽器に関する表記・技術上の問題)
  • 個々の作品について(資料について・資料の相互関係・成立年代・使用楽器・その他)
  • バッハ・リュート作品資料一覧(原典資料・出版資料)
  • 各曲 校訂一覧表・注釈 ※この部分12月号掲載      

  あくまで抄訳であるが、概要を知る上でもアマチュアにとって大変有意義なものである。バッハ研究に向き合う姿勢についてもさりげなく示唆している。
 この「改訂報告」によって資料の検証の公式報告がなされたわけであるか、この7曲がリュート曲として確定したわけではなく、むしろその真偽をめぐる種々の説が百花繚乱と入り乱れ混迷を深めるといった感じをもった。

 そもそも、トーマス・コールハーゼも基本的には音楽学者であり専門のリュート奏者ではないが、例えばスコラダトゥーラ使用の仮説など、リュートに携わっている第3者の色々な論説(今となっては昔日の感があるが…)を少なからず紹介している。特定のリュート奏者の独断と憶測に支配されず、音楽学者により純粋に客観的な分析が行われたことは幸いである。後は我々個々に判断が委ねられたのである。

大学でしっかりドイツ語を勉強しておけばdespair…と悔いる藤兵衛であった。

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