バッハとリュートあれこれ(2)~旧バッハ全集
先日ブリューガー版の全集について紹介したが、本家本元(?)のバッハ協会版(Bach-Gesellschaft Ausgabe)いわゆる旧バッハ全集版に触れてみる。
同協会はバッハ作品全集の刊行を目的にバッハ没後100年にあたる1850年に設立された。ほぼ50年かけて19世紀末までに46巻(分冊ふくむ)を刊行しその役割を果たす。作品の分析および資料の検証はニの次で当時知られていたバッハ作品の全貌を明らかにすることが優先された感がある。そのためカンタータからはじまりおおまかにジャンルごとに分類されているものの詰めが甘いものが少なくない。その最たるものがリュート作品である。現存するソロ作品のうちBWV995とBWV1000の2曲が未掲載であり、その他の曲もクラヴィーア曲もしくは楽器不明(不定)として分類されている。
そのためBWV996のブーレーは単独で、BWV999は小前奏曲集の一曲として古くからピアノの練習曲として知られていた。(なんとなく子供の頃ならっていたピアノの楽譜集で見た覚え…ということは弾いたことがない?…がある)
リュート曲と掲載巻の関係は以下の通り
【第36巻クラヴィーア曲4(1890年)】
BWV999
【第42巻クラヴィーア曲5(1894年)】
BWV1006a
【第45巻-1器楽曲の補遺(1897年)】
(カノン,インヴェンション,組曲など)
最後の3曲は基本的にはリュート曲としての断定はさけているがその可能性を匂わせている。ただし曲の配列からも作曲年代や様式の検討はさほどなされていないことが読み取れる。リュートそのものが忘却されたその時代においてはいたしかたないことである。何よりもバッハの曲を世に知らしめたことが旧バッハ全集の最大の意義なのである。
そして、ブリューガー版のリュート作品集の刊行はそれから20数年後になるが改めてその偉業を顧みる藤兵衛である。
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